人々

はじめに

昔から、人類の最も興味深い問題は人の寿命であり、生まれた時は同じ赤ちゃんなのに年を経るごとに実年齢より若く見える人もいれば、逆に年齢よりも老けて見える人も出てくる。そして、人生の終わりを迎えるに当り、その個人差は大きくなる。病気や怪我をしなくても、ある人は60才代で人生を終える人もいれば、100才まで長生きする人もいる。

そのような状況を見て、人々は老化と寿命に関し、いくつかの角度で研究・分析を行ってきた。しかし、それはあくまでも根本的な問題である。「人は血管の酸化劣化で老いる」という事と、それを防止する技術を発見していない状況下での事である。老化について今まで判っていることはいくつかある。

一つは、老化と「代謝」の関係、いわゆる「代謝説」である。「二十日鼠(ハツカネズミ)」は、いつもせわしく動き、その「代謝」スピードは速く、又、その寿命も「20日ねずみ」と呼ばれる様に非常に短い。その反対に、「象」はいつもゆっくりと体を動かし、その「代謝」のスピードは大変遅い。そして、その寿命は永く、100歳を超えることもある。昔の人はこの経験より、人の寿命は「代謝」の速度と関係が深い事に気付き、中国において「太極拳」が発展し、今でも多くの人々に「愛好」される所以である。日本においては、「呼吸法」などが生まれ、「代謝」をゆっくりコントロールする方法として普及している。

しかしながら、米国では人々は市内を、代謝をコントロールしているかのようにゆっくりと歩いている。しかし「20日ねずみ」のようにせわしく東京・大阪等の大都市内を歩いている日本人の方が、米国人よりも長生きである事は少し「皮肉」の様な感じもする。

次に人々が関心を持ったのは「細胞説」である。人間の体内には数十億個の細胞があると言われている。その一つ一つの細胞の寿命を延ばせば、その集合体である人の寿命も延ばせるはずという事で、研究が為されてきた。その結果、1990年に(財)東京都老人総合研究所(当時)の松尾研究部長より「ジンセノサイドRG1」という朝鮮人参に含まれる成分が、副作用も無く細胞の寿命を約17%延長できるという研究発表がなされた。

過度に服用しても問題なく、安全に摂取できる物質で、唯一細胞の寿命を延長できるものとなった。

これにより、5,000年前に秦の始皇帝の命令により朝鮮半島で発見され、その後、唯一の細胞の活性剤として、また長寿命の為の薬として普及してきた朝鮮人参の薬学的効果が、科学的に立証されたのである。細胞の寿命を延ばす物質は他にもある。例えば、「成長ホルモン」等もそうであるが、副作用が強く一般的に使用はできない。それ故、ジンセノサイドRG1が唯一の細胞寿命を延長できる物質といっても過言ではない。この状態が秦の始皇帝の時代から現在まで約5,000年間続いてきた。

次に考えられたのが、人の老化に酸化が関係している事に気付き、体内の活性酸素の発生を出来るだけ「抑制」しようという事で、「なるべくストレスを感じない様にする」「喫煙を控える」等の試みである。

そして、最近注目を浴びて来たのが「生命時計」つまり「タイマー」説である。人は生まれた時より体内にタイマーがセットされており、そのタイマーが持続的に動いている期間、すなわち寿命を色々なファクターで縮めているというもので、「タイマー」の進むスピードを遅くしたり、或いは止める事ができれば寿命は延びる事となる。

「タイマー」の進むスピードを速める要因としては、「睡眠不足」「過度な飲食」「精神的ストレス」「肥満」「喫煙」等が挙げられる。この「生命時計」そのものに関しては、従来の「科学」の延長線上ではなかなか捉えられない対象であると考えられている。

しかしながら、今までの研究手法の延長線上では解決できない、或いは判明できない未知のことを、今までとは異なる角度から、異なる手法で解決できる事は科学の世界では良くある事である。人が生存した最長寿命は、19世紀までは100歳以下であったが、1900年には111歳まで延び、1990年には115歳となり、1997年に亡くなったフランスのジャンヌ・カルマン女史の122年164日が今までの最長寿命となる。今後ともこの最長寿命は延びる事を考え、我々の生命学的最長寿命(「生命時計」の期間)は、ここでは150年とする。ここでいう「不老長寿」とは、永遠に生きるという意味ではなく、我々人類が最長で約150年の「生命時計」の期限いっぱいまで生きるという意味である。

つまり、我々人類は、精神的ストレス、睡眠不足、喫煙、過度の飲酒などが原因で活性酸素を増加させ、それによる酸化作用、及びそれに伴い発生するであろう各種癌や糖尿病などの疾患の発病により、天より与えられたこの最長約150年の生きることができる期間を縮め、結果として早い人は50才代や60才代で、遅い人でも80才代、90才代で寿命を終了する結果となっている。 この人類の「生命時計」の最長150年までの期間を、縮める最大の原因であると言われている活性酸素の働きを抑制し、酸化作用による各種「疾患」の発病を防止し、「生命時計」の期限いっぱいまで寿命を延ばすことを、ここでは「不老長寿」と呼ぶこととする。